ブオーン…夜な夜な、持参した発電機が稼働する。ホームセンターで買ってきたナイター照明を光らせ、高津小前のグラウンドで毎週練習しているチームがある。
あるときはアクティブにトライを決め、あるときは大きな両手で子供たちにおにぎりを握る。しかしてその実態は、八千代市ホームのラグビーチーム・ビッグブルーズなのである…!

創設45年の歴史あるチーム
BIG BLUESの母体はかつて日本IBMが運営していたラグビーチーム。会社の部活として1976年に創部され、2004年には日本代表の選手などがプレーする”トップリーグ(現リーグワン)”に所属していました。
ところが、2017年にホームグラウンドである日本IBM八千代台グラウンドが閉鎖。運営母体も変わり、60名近くいたチームメンバーが徐々に離れていってしまいます。
このままではチーム存続が危ぶまれてしまう。
この危機をなんとかしようと立ち上がり、今年から新運営体制をスタートさせた下村ゼネラルマネージャー(GM)にチームへの思いやホーム・八千代市への思いを伺いました。

キヤノンイーグルスでは主将を務めた。引退後はパーソナルトレーニングジムオーナー/トレーナー。2021年からBIG BLUESゼネラルマネージャー。BASICラグビーアカデミーでは小中学生の指導も行う。
https://www.big-blues-rugby.com/
“BIG BLUESが潰れそう”
ー下村GMは以前BIG BLUESでプレーされていたそうですが、GMとして戻ってこられたのはなぜですか。
きっかけはメンバーの電話です。”チームがこのままだと潰れそうだから、なんとかしてくれ”ということで、現状把握のため残っているメンバー全員に連絡を取りました。
聞いていくと「このチームでプレーする意味がない」という声が多かった。そういうチームになってしまっていたんです。僕がいた頃は地域貢献もして、本気で勝ちに行くプライドのあるチームだった。やりがいもあった。話をするうちに、それを取り戻したいという気持ちになりましたね。
ーチームコンセプトに「地域貢献」を起用され、ロゴにも反映されていますね。その意図は。

ラグビーをやっている人はラグビーに恩がある、と僕は思っています。チームを作っていく中で、メンバーのベクトルの方向を合わせるべく作ったのが”恩返し“というポリシー。それを元に今年の4月からSNS上で”恩返ししたいやつ集まれ!”をキーワードに選手募集をかけました。

説明会を開いて1回1回丁寧に思いを伝えていくと、当初チームを去ると言っていたメンバーも”そういうコンセプトなら” “下村GMがやるなら”と戻ってきてくれたり。10年後にもう一度”リーグワン”に上がる、そういう夢を掲げるチームに所属したいという選手も集まってきました。現在はスタッフも含めると60名。増えましたね。
ーまさにこれからスタートという感じで、今から応援したらめちゃくちゃ楽しいですね。
「今はサクセスストーリーの一歩目。ファンの皆さんと一緒にチームを作り上げていくというような、巻き込み型のチームづくりをしていきたい。まずは地元の八千代の皆さんから元気にしていきたいし、ラグビーの魅力も伝えていきたいと思っています。」

恩の循環と”恩送り”
ー地域貢献ということで、市内小学校での朝食支援や、体育の授業での”タグラグビー”教室などをされているんですね。
※タグラグビー:ラグビーからタックルなどの要素を抜いた、年少者向けのスポーツ。”タグ”と呼ばれる腰紐をつけて行い、小学校体育の学習指導案にも記載されている。
NPO法人わっかと一緒に、毎週小学校に伺って家庭科室でおにぎりを握っています(※緊急事態宣言時を除く)。僕たちは朝ごはんの大切さって身にしみてわかっているので。子供たちが朝ごはんを食べずにフラフラとやってきて、上の空で授業を受けて…、ってどう考えてもよくない。
あと僕ら身体が大きいから、いると元気になるでしょ(笑) わーわー!!ってテンション上がってくれるんですよね。元気のきっかけになる存在になりたい。あの人たちが来ると楽しいな、嬉しいなというチームになりたいです。

ータグラグビーはどんな経緯で?
朝食支援の流れで先生に”コロナ禍で子供たちに全然刺激がない”と伺って。行事も中止だしどこにも行けないし、禁止ばかりで子供たちは本当に我慢している、と知ったんです。じゃあ僕たちに何かできることないかなと思ってやらせてもらいました。
新しい刺激って成長につながる。また2学期3学期にも行きますし、他の小学校にも展開していきます。八千代市全部周りたいですね!
ーそうなったらタグラグビーがたくさんプレーされますね!
出張授業をしたときは、ラグビーボールとタグ(腰紐)をセットで寄贈しています。これはチームのグッズの売り上げの中から購入するもの。ファンのみなさんが応援してグッズを買っていただくことで、未来、子供たちにつながっていきます。循環というか恩を送る感じで、”恩返し“と”恩送り“でもあります。

ー地域貢献は一見、競技とは関係のない活動ですが、チームの皆さんは?
最初にうちはこういうチームだよ、こういうことをして、その上で強くなっていくんだよということに納得して来てもらっています。だから嫌だなとか、そういう感じにはならないですね。小学生や中学生の指導も行っていますが、友達みたいな感じで(笑) 基本は誰が来てもウェルカムな選手たちです。

10年後にもう一度リーグワンにという目標は、今指導している子供たちが大人になった時にここでプレーしたいと思えるチーム、居場所になっていたいという意味でもあります。夢のような話ですが、夢を追いかけるって僕は好きなので。妻には”青春だね“って言われます!
10/10(日)はホームゲーム!
現在練習を行っている高津グラウンドは、自治会に相談し、自分たちで照明を設置して使っているそうです。そんな地道な彼らのファンになり、支援する方や地元企業も。魅力いっぱいのBIG BLUESは、今週末にホームゲームが開催予定。八千代市総合グラウンド(Google map)にて14時30分キックオフ!(観覧無料だそうです!)
久しぶりに皆さまの前で試合が出来る事が本当に嬉しいです!!
— BIG BLUES(ラグビートップイースト所属)@10月10日八千代総合グラウンド (@BIG_BLUE_RUGBY) October 4, 2021
観覧も無料なので、ラグビーやイーストを見たことが無い方にも遊びに来て欲しいな☺️
会場での企画などは順次発表して行きます!当日は感染防止に気をつけつつ一緒に楽しみましょう😆✨#トップイーストもいいぞ#トップイースト盛り上げ隊 pic.twitter.com/Pwq9BRP7Vo
広報にも力を入れていらっしゃいますので、クオリティの高いコンテンツがたくさん。興味を持ったかたはぜひSNSをフォローしてみてくださいね。
取材・編集/きょん
八千代市在住5年の地元密着Webデザイナー&ライター。ADHDとうまく付き合いながら働く幼児2人の母です。
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