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52間の縁側

“僕は、背骨になるようなものをつくりたい” 建築家 山﨑健太郎さんインタビュー(後編) #52間の縁側


福祉施設”52間の縁側”ができるまでに密着するironna(イロンナ)メディア。
前回の山﨑健太郎さんインタビュー後編をお送りします。

前編はこちらから

「オモテじゃない場所」にあるこだわり


−建物内はスカスカさせてるとのことでしたが、こだわったところはありますか?

健太郎「中もだけど、外や縁側の下の空間もいろんな使い方をしてもらえると面白いなと思っていて。湧き水がたまる池や、縁側は板を目透かし(隙間を開けて配置)にして、風が吹いたら抜けていくようにしています。僕ロマンチックだから(笑)、そういうオモテじゃない場所も大事にしてます


「普段はオモテになる場所=メインになるリビングのような場所を求められるけど、案外このいしいさん家は”ほっといてくれる場所”とか…2人になれたり、隠れたくなる、ロマンチックになれる場所が大事なんじゃないかなと思っています。散り散りになっているけどみんな一緒の空間にいる感じを作りたい、というか。それがここの”背骨みたいなもの”かな。

僕がやったことは、と聞かれたらそういうことかも知れないです。あとは…知らない(笑)

(一同笑)


「一緒にいる感じはあまりしないけど、同じ方向を向く。向こうの端にいる人のことは感じられないんだけど、屋根がずっとつながっているからこの先には誰かが座ってるんだろう、という感じがいいかなと思って。それくらいですね」


この場所を「いい場所」にしたかった


健太郎「で、あとは期待を込めてなんだけど、照明を池に一応入れてあって

一同「えっ?」

書類を取り出した健太郎さん
池の周りに照明を入れ、こんな感じになるとのこと


石井・亜佳音「こんなのはじめて見た!!

健太郎「夜オープンしてるかどうかにかかわらず、点けておくといいなと思って。縁側の裏に水面が映り込むように工夫しました。

ただのかくれんぼする場所じゃなくて、この場所をちゃんと”いい場所”にしたかった。勝手な妄想だけど、ロマンチックな方がいいじゃない?おじいちゃんか誰かがもしいるんなら、ここでのんびりしたり。」

亜佳音「おじいちゃんおばあちゃんもデートするかも…」


健太郎「快適な温度って26度くらいとされているけど、空調でセットされた26度より、外の夜の風が吹いてる26度の方が気持ちいいと個人的な感覚で思うんです。恋が芽生えやすかったりさ…。石井さんはまあ関係ないかも知れないけど(笑)」


石井「笑」

地域全体をつなぐ場所へ


亜佳音「ここは八千代全体のハブ(中継地点、つなぐ場所)になる場所になりそうな気がしてる。みんなが関わって出ていく、関わって出ていくの輪が回るというか。」


健太郎「普通のデイサービスとか、みんなの居場所ができるとか、この場所にはどうやらそれ以上のものがありそうだね。」


石井「看取りもそこでやるつもりなんだけどね。看取りって、病院だと亡くなったら白い装束を着て裏から出ていくでしょ。ちょっと堅苦しかったり、怖かったり。


でも、いつも言うけど、老いや死は日常なんだよね。誰にでも起こりうるし人って老いていくというのを、子供もそうだし保護者の人にも、肌で感じて欲しいね。」

そうした泥臭さというのかな。
人間味あふれるというのかな。
泣き笑いがある「ありがとう」というのが
自然な看取りなんだと思う。

いしいさんブログ”いしいさん家便り”より
http://blog.livedoor.jp/ishiisanchi/archives/57261745.html


久本「うちにニワトリがいますが、オスが生まれるとさばいて、命をいただくことを子供たちは学ぶんですね。虫やザリガニを捕まえて飼ってみたりして、子供って結構”生きる/死ぬ”と近いところで生きている気がします。その感覚の中に”人”が入ってくるのは、とても意味深い。」


健太郎「そういう意識って、なかなか説教くさくやるわけにいかないですよね。一番は立ち会ったり一緒に時間を過ごしてもらうのが大事だけど、まずどうやったら自然に楽しんで入ってきてもらえるかというのが重要になってくるね。」




亜佳音「そのための”ヤルシェ!”(やちよ農業交流センターで毎年5月に開催されるイベント)だと思ってます。

“ヤルシェ!”2020年はコロナ禍で中止でしたが、2012年から7年に渡って開催されています


毎年、障害を持っている人やおじいちゃんおばあちゃん、みんなごちゃまぜにしてやるイベントなんですが、そこで何か感じ取ったものがある人が、運営しているNPO法人”わっか”や”ゆいのわ”(地域の共助システム。こちらの記事でご紹介しています)のサポートメンバーに入ってくれたり。

その人たちがさらに踏み込んでやれる場所が、このいしいさん家になるのかも。」


久本「それはいいですね。交流センターのようにみんなが通り過ぎていく場所もいいけど、もっと継続して関わって、ゆっくり関係を作っていくステップとして捉えるということだよね。暮らしに落とし込む、というところ」


石井「コツコツ、継続だね。」


今が最後の山かも


健太郎「もうずーーーっと計画をやっていて、たまにほんと心配になるから、今日はみんなに会ってすごく安心しました」


亜佳音「もう5年になりますね…」

健太郎「でもさっきのアトリエで、一つの作品を長く作り続けている子の話を聞いて、だいぶ勇気づけられた…気長に。(あの子たちに)負けられないよね。現実の条件の厳しさとか、こんな苦しい仕事は初めてかも。」

亜佳音「今が最後の山かもしれないね。


それぞれの思いが共鳴して、ここまで来た#52間の縁側 プロジェクト。アトリエの子供たちの作品と、田んぼのおいしい風に元気をもらった今回も、みんなの意思を確認するとても素敵な時間になりました。


今回の締め写真は、けんじ@kenji_yamaさんご提供です。夜に暖かい光が見えるとほっとしますよね。


編集後期

今回の記事はどうしたら健太郎さんのお話と場の雰囲気が伝わるのかなと、右往左往しながらの作成でした。秋晴れの気持ち良い風とそれぞれの思い、ライトアップのワクワクを少しでも身近に感じ、楽しんでいただけていたら嬉しいです。そして、お写真の提供本当にありがとうございました。引き続き募集しております!



取材・編集/きょん
八千代市在住5年の地元密着Webデザイナー&ライター。ADHDとうまく付き合いながら働く幼児2人の母です。
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