ironna with いしいさん家

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52間の縁側

イベントレポート:みんなの居場所をつくる〜地域に根ざした取りこぼしのない支援を目指して〜

トークセッション2ページ目です。前ページはこちら

制度を乗り越えてこそ「本当の居場所」ができる

石井 制度って作るのはいいけどその狭間にまた取りこぼされてしまったりする人も出てきます。介護保険もそうなんだけど、制度に乗れない人がいる。

宮本 社会的支援も大切だし、支援が必要な人「だけの場所」ではなくて、その人たちも当たり前にいる場所も必要だよね。

山﨑 石井さんの考えの中に、「その人たちのための」っていう感覚はあまりないもんね。人類愛…いや、動物もいるから「生物愛」か(笑)あんまり「障がいを持つ人のため」「子供達のため」って感覚はないですよね。

収録の少し前に、路上で怪我をしていたところを石井さんに保護された猫のシャーくん。

石井 ないね。介護で言うと、今までの人生からボンっと制度にそのまま当てはまるわけじゃないじゃない。線を引く人じゃなくて、僕たちはその人の人生の黒子だから。

山﨑 「制度と制度の間」になってしまった時はどうするの?介護保険制度とか枠組みに乗らない時。

石井 制度を利用すれば安くなるけど、対象者になれない人だね。自費になるけど、そこは家族との話し合いだね。



石井 いろんな制度があって、そこにハマらない人は「例外」で、例外をいっぱい作っちゃう感じ。それが平等なのかも。一律でこっちが枠を作り、この中に当てはまる人だけが平等だと思いがちなんだけど。

例えば家族がいればちょっとした買い物は行ける人がいて、一人暮らしだと行けないけど(いしいさんちに来てくれれば)ついていったりもできる。

山﨑 いま52間の縁側でやろうとしていることは、制度にのらない例外をいっぱい作るということで、そこにわっかが入ってくるよね。そこで大きくはないかもしれないけれど収益を生み出せるような取り組みにつながるし、その取り組みにいしいさん家の利用者さんがお手伝いできたり。

この建物って、大きく言えば村のようなものですよね。そこではお金が交換されているというよりも、「お手伝い」と「安心」の交換なんかが起きるのかも。そういうふうに制度を乗り越えようとしているのかなと思います。

制度の乗り越え方って皆さん気になっているけど、まあ「今後を見ていてください」ってところかもしれないですね。言葉では説明しきれないから。

宮本 やってみて、ですよね。

縁側は「どんな人がいてもいい」の象徴

宮本 たぶんいしいさん家も、こんなに広く地域の方に入ってきてもらうのは初めてですよね。マイノリティとマジョリティって分けられないけど、割と「一般的な生活」をしているマジョリティ側が多く関わっていく。たくさんの人が関わってもらうことで運営していける。それがすごく大事だし、それができるといい未来につながる気がします。

建物の模型を見ながら話す場面もありました

山﨑 福祉・介護って、制度が片方に矢印が向いているけど、自然で望ましいのはお互いに矢印行ったり来たりしている状態だって石井さんが言ってたと思う。その状態をどうやって作っていくのかがすごく重要なことですよね。

宮本 スタートラインが大事だったりするので、建物の役割ってすごく大きいですね。目で見てわかるから。

山﨑 “いしいさん家”のプロジェクトに関わらせてもらって、大事なことは「言葉にしないこと」だと思いました。建築ってここは誰のための場所だとか、どう振る舞う場所とかってメッセージを発しちゃうんだけど、それがない建物を作るのがとても難しかった。だから僕らが今回やったことは、本当に「縁側」。縁側は誰がいてもいい場所だから。

石井 ソトでもない、ウチでもない。そういう曖昧さだよね。日本の建物の素敵なところ。障子なんかもガッチリ区切るんじゃなくて、閉じてるんだけど向こうに誰かがいるなってわかるじゃない。

縁側は同じ方向を向けるしね。対面で座っているとなかなか本音で話せなかったりするけど、並んで話したり角に座って話すと話せたりするから。

まとめ:地域の人とともに作る「存在を認めてもらえるような場所」

石井 ぼくが目指してるのは、物とか時間を使ってもらって将来の安心を担保する、みたいな概念で。これだけ時間と労力を使ってもらったから将来そのケアとか支えが必要になった時は来なよ、という場所でもありたいね。

山﨑 なるほど。制度とか保険って、人口が減る中で財源や対象やいろんなものがだんだん小さくなっていくんじゃないかって不安があるよね。でも石井さんたちは「どれだけ使っても減らないもの」を作ろうとしてるんじゃないかな。
関わっていけばいくほど「減らないもの」、人間関係とかコミュニケーションなんかを得られる感じ。

どうやって作るんだよ!ってみんな思ってるかもしれないけど、それがチャレンジだよね。わっかと一緒に、地域という広い場所で資源をみんなで作っていく。

山﨑さんのチームと何度も打ち合わせを重ねてきた石井さん、宮本さん。

石井 わっかとタッグを組むことによって、足りないところを補えるようになると思う。お互いの仕事を全うすれば相乗効果になると感じてます。新しい提携じゃないけど、こういう事業のスタイルも産まれてくるんじゃないかな。

山﨑 2人の話を聞いていると頼もしく思うんだけど、その一方で関わる人たちは「この2人がいるから大丈夫だ!」と感じるわけじゃないじゃないと思うの(笑)。

2人は当然リーダー的な人たちだけど、みんなが関わることによって大きくなるものだよね。関わる人たちは「安心を与えてもらおう」って感覚ではないだろうし、そこにいると関わっていくうちに安心を与えている存在になっちゃうかもね。

石井 うちに9年引きこもっていた人がいて、なかなか人と接することができなかったの。就労支援とかも行ってたけど縁あってうちに来てくれて。

とりあえずいるだけでいいからって言うんだけど、そのうち自発的にお手伝いとかしてくれるようになったの。みんなにありがとって言ってもらうと、もっともっと自分で動いてくれるようになった。で、有償ボランティアを経て今は雇用契約を結んでる。

今健太郎さんが言ったような「ここいてもいいんだ」って、存在を認めてもらえるような場所なんだと思う。だんだん「誰かを笑顔にさせる」人になってくるような場所に、ここもなってきたらいいな。人って認められる場所、向き合える場所って必要なんだ、と改めて学びましたね。

着工の日のチーム。石井さんの気合いがすごいです(笑)


編集後期
お話を伺ってきた「縁側」も、2021年4月に無事着工し実際に建物ができてくるフェーズに入りました。5年にもわたる道のりの中、同じ気持ちをずっと持ち続けるのはものすごいことです。「繰り返し発信していかなければならない」と石井さんが言うように、今回もプロジェクトの本質をブレることなく伝えたセッションだったと思います。個人的には3人のお話を徐々に咀嚼できるようになってきて、思わず感想文をnoteに書いてしまいました、よかったら読んでみてください。

取材・編集/きょん
八千代市在住5年の地元密着Webデザイナー&ライター。ADHDとうまく付き合いながら働く幼児2人の母です。
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