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52間の縁側

「みんなの居場所」を作る!プロジェクト発起人の石井英寿さん・宮本亜佳音さん対談

“ironna(イロンナ)”は、地域共生をテーマに地域のいろんな人やいろんなことを取材していくメディアです。千葉県八千代市に誕生予定の施設 “ごじゅうにけんのえんがわ” ができるまでにも密着していきます。今回は、発起人のお二人の対談でスタートです!




★プロジェクト「52間の縁側」とは?

「52間の縁側(ごじゅうにけんのえんがわ)」は、「第3のいしいさん家」とNPO法人わっかがタッグを組んで始まった、「高齢者・障害者(児)・ファミリー・みんなの居場所」を作るプロジェクト。

介護施設としてデイサービス、日中一時支援をするほか、子どもの遊び場、共助カフェ、障害者や生きづらさを抱える人の就職支援など「取りこぼしのない支援」を目指す施設です。

名前は「52間=94m」(1間は1.818m)におよぶ長い縁側の設計から。
プロジェクトについてさらに読む>

石井英寿(いしい・ひでかず) 
介護福祉士・ケアマネージャー。
宅老所「いしいさん家」代表。現在は千葉市花見川区と習志野市の2軒運営、新たに千葉県八千代市米本に第3のいしいさん家を建設中。

いしいさん家とは



宮本亜佳音(みやもと・あかね)
千葉県八千代市のNPO法人「わっか」理事長。市民間の助け合いシステム「ゆいのわ八千代」の立ち上げ・運営や、ファミリー層向けのイベントなど様々な地域活動を実施。
NPO法人「わっか」公式ページ:http://wacca-with.org/



「52間の縁側」建物の模型。建築物としても高い評価を得ています



きっかけは「面白い不動産屋さん」

お二人は、どんなきっかけで出会って一緒にプロジェクトを進めるようになったんですか?

石井「9年前くらいかな…?「いしいさんち」を新しく建てる土地を探していたら、まえにうちで働いていた子が、面白い不動産屋さんがあるんですよ!って連れて行ってくれたの。

それが、だいちゃん(=宮本さんの旦那さん、株式会社daibeam(ダイビーム)代表・宮本尚徳さん)のところ。


宮本「それまでも私は、石井さんとわっかのイベントなどで繋がりがあって、目指しているものがお互い同じだなあと思っていました。」


石井「”いろんな人がいていいよ“っていう趣旨が共通してて、長く付き合えそうだなと思ってた。

それで、だいちゃんに米本(八千代市の西側で、大きなUR団地がある)に良さそうな土地があるよって言われて。実際に行ったら、確かにやりたいことが実現できそうだったの。子供たちが走り回ったり自然の中で遊べたり一体でできる土地、昔のサザエさんちのような、いろんな年代や立場の人が混じっている場所。」


−「ここだ!」という場所との出会いがあったんですね。

石井「思いを話しているうちに、建物を設計してもらうのはこの人がいいんじゃない?ってまただいちゃんが紹介してくれた。それが、一級建築士の山﨑健太郎さんで。佐倉市の生まれで、この人も、どこまでも「人」を大切にして建物を作るのが信条の人だったの。


何回も何回も打ち合わせして思いを共有して、うちの「宅老所」ってスタイルと、子育て・ファミリー層にも通じているわっかさんのスタイルを足し算して「みんなが一緒にいていいんだよ、排除されることないんだよ」が実現できる建物を設計していった。


横にすごく細長い土地だし、測量の結果結構な斜面があると言われたんだけど、そこを山﨑さんは逆手にとって、長く続く縁側と、坂を利用した「じゃぶじゃぶ池」を設計したの。」

宮本「縁側は”そとと中をつなぐ場所“って意味もあって、外で動物を飼って子供たちが池で遊んで、野菜も育てたり、そういうのを中から眺めることもできたり。」

−伺っていると、目の前に光景が浮かんでくるようです。

一般的な「縁側」。100m近く続く52間の縁側からは、どんな景色が見えるのでしょうか


「不便」を大切にしたいろんな仕掛け

石井「僕らはこの建物に、みんなが交われるためのいろんな仕掛けをしてるの。
山﨑建築士いわく、”建物は思いを持った人の姿勢が、佇まいがそのまま現れる“んだって。」

−思いが詰まった建物なのですね。

石井「例えば屋根付き駐車場でそのまま建物内に入れたら便利ではあるけど、屋根がないと”傘、入る?”とか”みんな大丈夫?!濡れちゃったねー!”みたいな会話が生まれる。
利便性を追い求めすぎるとそういうのがなくなっちゃうの。

効率とか生産性を追い求める世の中で、生産性のない人は排除されがちだけど、そういう人を取りこぼさない、一緒の空間で自然に生きていくのが大事だから。


宮本「ちょっと狭いところがあったりすると、”通してね〜”とか”掃除するからちょっと足あげて〜”みたいな関わりができる。細長い建物の中で、いろんな声かけがあるといいなと思います。」

根っこにあった「属性で分けられる不思議」


−コロナ禍など大変なこともある中、何年もかけて進めてこられたのはどんな思いからですか?

宮本「わっかの活動を通して、ずっと不思議だったんです。
八千代市内にも車椅子の人、障害を持った人、ご飯を満足に食べられない子、高齢者、ファミリーなどいろんな人がいるのに、みんな生活圏が分断されている

一緒の市で近所に住んでいるのに、全然関わりがないんです。
だから”福祉”って聞くと、”関係のない遠い世界のこと“と考える人も多い。

石井「子どもは学校や園、障害者は福祉施設、高齢者はケア施設、みたいに別れているんだよね。」


宮本「保育園でも時々老人ホームに交流に行ったりするところがありますが、あくまでイベント的。自然に”普段からいるのが当たり前“という感じじゃないですよね。
“みんな一緒に居られる場所ってないな。そういう場所があって、当たり前にいろんな立場の人と関わる。将来的にそういう子たちがたくさん大人になるといいな”と母親目線で思ったんです。」



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